『世界残酷物語(Mond Cane / A Dog’s World)』More 心の奥底に
映画『世界残酷物語』は1962年のイタリア映画で原題はMondo CaneでありアメリカではA Dog’s World(犬の世界)です。撮影がおこなわれた当時の世界中における奇習や風俗をドキュメンタリー・タッチで描いていますが演出、捏造されたシーンも多く含まれていて。いわゆる「モンド映画」という総称を生み出した作品です。
映画 『世界残酷物語』から More (心の奥底に)original sound track
リズ・オルトラーニ(Riz Ortolani)が作曲した「モア(More / 心の奥底に)」が主題曲として扱われていますが実際には挿入曲です。日本で上映された動画では「ひよこ」に赤や青色などの着色をほどこすシーンで曲の前半部分の一部が聴くことができます。
「More」というタイトルは映画公開後につけられた曲名でイタリア語盤のレコード名はTi guarderò nel cuore(心の奥底に)でした。
リズ・オルトラーニはイタリアの作曲家で、この映画『世界残酷物語』における楽曲がきっかけとなり映画音楽家の道がスタートします。1964年にはアメリカ・ハリウッドへ進出しイングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)主演の映画『黄色いロールス・ロイス(The Yellow Rolls-Royce)』の音楽を担当しました。
映画 『黄色いロールス・ロイス』 original sound track 1964.
この映画でアラン・ドロン(Alain Delon)はアメリカ映画に初出演します。
1970年にはレナード・ホワイティング(Leonard Whiting)主演、『昨日にさようなら(Say Hello to Yesterday)』の音楽を作曲しました。美しいメロディを聴くことができます。レナード・ホワイティングは映画『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』のロミオ役で有名です。
映画 『昨日にさよなら』 original sound track 1970.
1972年にはチャールズ・ブロンソン(Charles Bronson)主演映画『バラキ(The Valachi Paper)』の音楽を担当しました。
映画 『バラキ』 original sound track 1972.
ハリウッドを中心に映画音楽を作曲し続けたリズ・オルトラーニでしたがアメリカへの移住はしませんでした。イタリアを愛し、1967年にはヴァン・クリーフ(Lee Van Cleef)、ジュリアーノ・ジェンマ(Giuliano Gemma)主演映画『怒りの荒野(I giorni dell’ira / Day of Anger)』などイタリア・ウエスタン(いわゆるマカロニ・ウエスタン)作品に楽曲を提供しています。
映画 『怒りの荒野』original sound track 1967.
1972年には宗教的な題材を取り入れた映画『ブラザー・サン・シスター・ムーン(Brother Sun Sister Moon)』の音楽を担当しています。日本配給版の作詞、作曲はスコットランドのシンガー・ソングライターであるドノヴァン・フィリップス・レイッチ(Donovan Philips Leuitch)でこの映画のために書き下ろしました。歌っているのもドノ・ヴァンになります。
映画 『ブラザー・サン・シスター・ムーン』original sound track.
一方、同じ映画ながらイタリアにおける原題は『Fratello sole, sorella luna』でありドノ・ヴァンが提供した楽曲をリズ・オルトラーニが編曲しています。歌っているのはイタリア人歌手、クラウディオ・バリオーニ(Claudio Baglioni)です。どちらもオリジナル・サウンド・トラック盤になります。
映画 『Fratello sole , sorella Luna』 Claudio Baglioni
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