『ビリティス（Bilitis）』やわらかい肌 /禁断の幼性

映画『ビリティス（Bilitis）』は写真家としてすでに有名であったデイヴィット・ハミルトン（David Hamilton）が当時、写真撮影のモデルとして被写体にしていたパティ・ダーバンビル（Patti D’Arbanville）を主役にしたフランス作品です。1977年に製作・公開されました。日本での公開時における邦題は「やわらかい肌/ 禁断の幼性」となっていました。邦題からもわかるとおり性をモチーフとしていて、さらに同性愛を主題に展開されていくストーリーですが、ストーリー性よりも半透明なソフト・フォーカスによって光の中に美を追求した動く写真だと思ったほうがよいでしょう。フランシス・レイ（Francis Lai）が作曲した美しい音楽とみごとにマッチングされていて芸術作品として扱うべき映画です。

映画 『 ビリティス 』 original sound track 1977.

監督であり写真家のデイヴィット・ハミルトン（David Hamilton）は有名なフランスの百貨店プランタン（Printemps）の美術監督をしていました。主演であるパティ・ダーバンビル（Patti D’Arbanville）はニューヨーク生まれで3歳の時からモデルをおこなっています。1969年公開の映画『真夜中のカーボーイ（Midnight Cowboy）』に端役で出演しています。

映画 『真夜中のカーボーイ（Midnight Cowboy）』1968.

映画『真夜中のカーボーイ（Midnight Cowboy）』opening Theme 1968.

映画『ビリティス』の原作はピエール・ルイス（Pierre Louÿs）という詩人が1894年に発表した詩集「ビリティスの歌（Chansons de Bilitis）」なのですが、この詩集の発売時にピエール・ルイスは大きな偽りを真実のように作り上げ世間をみごとに騙しました。まずビリティスという女性の詩人が紀元前6世紀、ギリシャに存在していた。全くの嘘ですがビリティスという女性の肖像画が存在します。次に146の散文詩を書き残し、これが行方知れずになっていたものが19世紀に発見されたが、ところどころ解読ができない部分があった。これも作り話です。真の作者はピエールルイスです。

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