『會議は踊る(Der Kongreβ tanzt)』 完遂されることなき愛情物語
1814年の「ウィーン会議」を背景にしたドイツのオペレッタ映画で1931年に制作されています。題名は「会議は踊る、されど進まず。」から付けられました。
主演はリリアン・ハーヴェイ(Lilian Harvey)とヴィリー・フリッチ(Willy Fritsch)で、無声映画時代からのドイツを代表する俳優です。
映画『會議は踊る』より「唯一度だけ」 original sound track 1931年
この「唯一度だけ(Dasgibt’s nur einmal)」はリリアン・ハーヴェイが当時の25cm SP版に入る時間を考慮した短縮版で歌っています。
作詞はロバート・ギルバート(Robert Gilbert)、作曲者はヴェルナー・リヒャルト・ハイマン(Werner Richard Heymann)で1980年に日本の国営放送局であるNHKがおこなった映画音楽人気アンケートで第1位になっています。
もうひとつの主題曲である「新しい酒の歌(Das muβ ein Stuck vom Himmel sein)」はヨーゼフ・シュトラウス(Joseph Strauss)が1869年に作曲した「わが人生は愛と喜び(Mein Lebenslauf ist Lieb’und Lust)」をヴェルナー・リヒャルト・ハイマンが編曲したものです。映画の中では居酒屋の歌い手であるパウル・ヘルビガー(Paul Horbiger)が歌っていますが、レコードとして録音されているものはヴィリー・フリッチが歌っています。
映画『會議は踊る』より「新しい酒の歌」歌:ヴィリー・フリッチ 1931年
ドイツでは1929年に初めてトーキーが作られていますからこの映画『會議は踊る』は非常に初期の名作といえるでしょう。リリアン・ハーヴェイとヴィリー・フリッチは前年1930年にも映画『ガソリンボーイ三人組(Die Drei von der Takstelle)』で共演しています。
映画『ガソリンボーイ三人組』より「友達は良いもの」 original sound track 1930年
ドイツは1930年の選挙でナチスが第二政党に台頭し1933年にはヒトラーが首相となりヒトラー政権へと移行していきます。この映画『會議は踊る』の上映も禁じられリリアン・ハーヴェイはフランスへ亡命していきました。フランスでは2作品に出演しています。
第二次世界対戦前の映画ですが今回、取り上げた3曲はどれも映画音楽の名曲です。
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