『オズの魔法使』 13歳でデビューした子役の悲劇
映画『オズの魔法使(The Wizard of Oz)』は1939年公開のアメリカ・ファンタジー映画でオズの国の画像のみを当時としては貴重なカラーフィルムで製作されています。作曲者はハロルド・アーレン(Harold Arlen)、作詞エドガー・イップ・ハーバーグ(Edgar Yipsel Harburg)で曲のタイトルはあの「虹の彼方に(Over the Rainbow)」です。
映画『オズの魔法使』より「虹の彼方に」original sound track
歌っているのは子役として抜擢されたジュディ・ガーランド(Judy Garland)です。製作当初の主役にはシャリー・テンプル(Shirley Jane Temple)の名が挙がっていました。ジュディ・ガーランドが太りやすい体質であったため見送られそうになったのです。彼女は当時、ダイエット薬として常用されていたアンフェタミンを服用し体質をカバーし続けたのです。
映画『オズの魔法使』 予告編 1939年 trailer
「虹の彼方に(Over the Rainbow」は全米レコード工業会(RIAA)と全米芸術基金(NEA)により「20世紀における代表的な1曲」に選出されています。
1944年には映画『若草の頃(Meet Me in St,Louis)』に主演。「Have Yourself a Merry Little Christmas」はクリスマスソングの定番となりました。 作曲者はヒュー・マーチン(Hugh Martin)です。
映画『若草の頃(MeetHave Me in St,Louis)』Main Theme original sound track
映画『若草の頃』より「Have Yourself a Merry Little Christmas」
1949年の映画『アニーよ銃をとれ』のアニー役も当初はジュディ・ガーランドでしたが薬物の影響が顕著に現れ遅刻、欠勤、暴言の末、映画界を追われてしまいます。ただ彼女には抜群の歌唱力があったので1954年の映画『スタア誕生(A Star Is Bone)』で見事に復帰しアカデミー主演女優賞の最有力候補になったのですが、粗暴な振る舞いが公となっていたため印象が悪く、この年の受賞者はのちにモナコ王妃となるグレース・ケリー(Grace Patrcia Kelly)でした。
映画『スタア誕生』Main Theme original sound track 1954年
映画『スタア誕生』より「The Man that Got Away」original sound tack
アカデミー賞落選をきっかけに彼女の女優生活は幕を閉じます。映画制作会社ワーナー・ブラザーズから「もうジュディ・ガーランドは二度と使わない。」と解雇通告を受けてしまったのです。
1963年に舞台に出演したのが最後となってしまいました。1969年、47歳の若さで亡くなっています。薬物との戦いの日々でした。
初主演の時「肥満に注意」の一言が人生を狂わせてしまったといえるでしょう。しかし21世紀の今でも彼女の歌唱力は高い評価を受けていますし、何よりも彼女の娘があのライザ・ミネリ(Liza May Minnelli)なのです。
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