『昼下がりの情事(Love in the Afternoon)』 編曲から映画音楽家へ 「魅惑のワルツ(Fascination)」
クロード・アネ(Claude Anet)が1920年に発表した小説「アリアーヌ(Ariane jeune fille russe)」を映画化したものが1957年の『昼下がりの情事(Love in the Afternoon)』になります。
映画 『昼下がりの情事』 予告編 1957.
監督、ビリー・ワイルダー(Billy Wilder)、主演はゲイリー・クーパー(Gary Cooper)とオードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)です。音楽を担当したのはフランツ・ワックスマン(Franz Waxman)になります。
映画 『昼下がりの情事 』 original sound track 1957.
主題曲はイタリア人の作曲家であるフェルモ・ダンテ・マルケッティ(Fermo Dante Marchetti)が1904年に作曲した「ジプシーのワルツ」になります。この曲をフランツ・ワックスマンが編曲し曲名も「魅惑のワルツ(Fascination)」としました。この映画『昼下がりの情事』に使用されたことによってリバイバル・ヒットしました。
フランツ・ワックスマン(Franz Waxman)はユダヤ人で編曲の仕事から映画音楽に携わるようになります。ナチスが実権を握るとフランスへ渡り、さらにアメリカへとたどり着きます。1935年のアメリカ映画『フランケンシュタインの花嫁(Bride of Frankenstein)』が最初に任された楽曲になります。
映画 『フランケンシュタインの花嫁』 original sound track 1935.
アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)がイギリスで成功し、次の目標をハリウッド映画の監督となり実現させたアメリカ映画における第1作目となる『レベッカ(Rebecca)』の音楽を担当したのもフランツ・ワックスマンです。
映画 『レベッカ 』 original sound track 1940.
さらに同1940年にはMGMが製作した映画『フィラデルフィア物語(The Philadelphia Story)』に優雅な楽曲を提供しました。
映画 『フィラデルフィア物語 』 original source 1940.
1941年にはヒッチコック監督のアメリカ映画製作の2作目となる『断崖(Suspicion)』を作曲しアカデミー作曲賞にノミネートされます。
映画 『断崖 』 original sound track 1941.
1950年の映画『 サンセット大通り(Sunset Boulevard / Sunset Blvd.)』と1951年の映画『 陽のあたる場所(A Place in the Sun)』で2年連続アカデミー賞作曲賞を受賞します。製作が開始されたのは『陽のあたる場所』のほうが先で1949年になります。
映画 『サンセット大通り 』 original source 1950.
映画 『陽のあたる場所 』 original source 1951.
フランツ・ワックスマン(Franz Waxman)の曲の作り方は映画の内容に合わせ曲をイメージして融合させるという手法です。編曲家から作曲家への変遷が非常によくわかる映画が1953年の『第十七捕虜収容所(Stalag 17)』になります。
映画 『第十七捕虜収容所 』 original opening theme 1953.
映画 『第十七捕虜収容所 』 original source 1953.
この映画『第十七捕虜収容所』で使われた曲はアイルランドの音楽家パトリック・ギルモア(Patrick Gilmore)が1863年に作曲したアメリカ民謡で、これを映画の内容に合わせて編曲しなおしています。曲名は「ジョニーが凱旋する時」When Johnny comes marching homeといいます。数多くの映画に使われていて1939年の映画『風と共に去りぬ(Gone with the Wind)』や1989年のトム・クルーズ主演映画『7月4日に生まれて(Born on the Fourth of July)』で聴くことができます。
1954年にはヒッチコック監督のアメリカ映画第3作品目である『裏窓(Rear Window)』を担当しています。
映画 『裏窓 』 original source 1954.
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