『アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)』 6週間で全曲を作りなおせ
映画『アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)』は1962年のイギリス映画で当時の長編映画のスタイルをとり冒頭部、途中の休憩部、終了部に画像はなく音楽だけが流れていました。音楽を担当したのはモーリス・ジャール(Maurice Jarre)です。
映画『アラビアのロレンス』original sound track 1962年(序章曲)
映画『アラビアのロレンス 序曲第2部』original sound track 1962年
製作時に音楽を担当していたのは映画『サウンド・オブ・ミュージック』の作曲者であるリチャード・ロジャース(Richard Charles Rodgers)です。彼は映像を観る事なく作曲を終え提出しましたが、全曲がミュージカル調でありアイルランドもしくはスコットランドの古い民謡からヒントを得た楽曲だったのです。
映画『アラビアのロレンス』予告編 Trailer 1962年
この映画『アラビアのロレンス』はイギリス女王を招いてのロイヤル試写会が決定されていて日程の変更は許されない事態のなか、急きょ音楽を作りなおさなければいけなくなりました。期間はわずか6週間しかありませんでした。
同じ年、1962年にフランス映画『シベールの日曜日(Cybele ou les Dimanches de Ville d’Avray)』が制作され、音楽を担当していたのが新進気鋭の若手作曲家モーリス・ジャールでした。この映画は高く評価され、またモーリス・ジャール自身も映画『アラビアのロレンス』の楽曲にわずかながら参加していました。そして「この若いフランス人にすべてを託してみよう。」となったのです。
映画『シベールの日曜日』original Score none sound track 1962年
モーリス・ジャールは映画『シベールの日曜日』で1963年アカデミー編曲賞ノミネート、この映画『アラビアのロレンス』でアカデミー作曲賞受賞、さらに1965年の映画『ドクトル・ジバゴ(Doctor Zhivago)』で2回目の受賞をはたします。
映画『ドクトル・ジバゴ』 original sound track 1965年
ロレンス役を演じたのは舞台俳優であったアイルランド人のピーター・オトゥール(Peter Seamus O’Toole)でデヴィット・リーン(David Lean)監督による大抜擢であったと言えます。1968年には映画『冬のライオン(The Lion in Winter)』でキャサリン・ヘップバーン(Katharine Hepburn)と共演、1969年には2回目の映画化となる『チップス先生さようなら(Goodbye Mr.Chips)』に主演し、アカデミー主演男優賞にノミネートされました。
映画『冬のライオン』 original sound track 1968年
映画『チップス先生さようなら』 original sound track 1969年
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