『波止場(On The Waterfront)』レナード・バーンスタイン唯一のアカデミー候補主題曲

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映画『波止場(On the Waterfront)』は1954年のアメリカ作品でアカデミー賞10部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門を受賞した名作です。監督はエリア・カザン(Elia Kazan)、主演のマーロン・ブランド(Marlon Brando)はアカデミー主演男優賞を受賞しました。

映画 『 波止場 』 予告編 Trailer 1954.

マーロン・ブランドは「20世紀最高の俳優(Actor of The Century)」として雑誌TIMEから選出されているとおり、当時の俳優としては型破りな演技力を発揮していてメゾット演技法を実際に取り入れた撮影をおこなった第一人者です。

映画『 波止場 』 original sound track 1954.

メゾット演技法とは与えられた人物の心の内面に注目をして、その人物の持ち得る感情を役者として演じるもので同監督作品である『エデンの東(East of Eden)』で父親に泣きつきながら胸ぐらをつかむ息子を演じたジェームス・ディーン(James Byron Dean)のシーンが有名です。『エデンの東』の予告編でもこのシーンは使われています。

映画 『 エデンの東 』 予告編 Trailer  1955.

マーロン・ブランドは幼少のころから反骨精神の持ち主だったようで問題児扱いを受けて育っています。数多いエピソードの中に小学生時代、黒人のクラスメートと仲良くしていた唯一の白人生徒であったというものがあり、さらに映画界におけるインディアンの不当な扱いに対してアカデミー賞を辞退したことがあります。

他人の物まねをすることが上手だったことから実の姉が俳優になることを勧めました。1947年にエリア・カザンが演出したブロードウェイ舞台『欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire)』に重要な役で出演したことからカザンとの関係を深めていきます。1950年の映画『男たち(The Man)』がデビュー作品になります。翌、1951年には『欲望という名の電車』が映画化され同じキャスティングで出演しました。

映画 『男たち 』 original source 1950.

映画 『 欲望という名の電車 』 original sound track 1951.

1953年には映画『乱暴者(あばれものと読む:The Wild One)』で今までになかった新しいタイプの映画スターの地位を確立しました。それまで芝居ではタブーとされていた猫背姿勢や「ぼそぼそ」と小声でセリフを言うこと、急に感情を爆発させる演技などはマーロン・ブランドからはじまりました。

映画 『乱暴者 』 original source 1953.

1954年にはエリア・カザン監督の映画『波止場』に主演しますが、この撮影当時のマーロン・ブランドは母親を亡くしたばかりで精神的に不安定であったそうです。さらに1955年にはエリア・カザンからオファーされた映画『エデンの東』の出演も断っています。

1967年の映画『伯爵夫人(A Countess From Hong Kong)』では監督であったチャールズ・チャップリン(Sir Charles Spencer Chaplin)の自宅に招かれての演技指導中に居眠りをしたり、激しい衝突があり興行成績は悪く一線から遠退きます。

映画 『 伯爵夫人 』 original sound track 1967.

1972年の映画『ラスト・タンゴ・イン・パリ(Ultimo Tango a Parigi / Last Tango in Paris)』と『ゴッドファーザー(The Godfather)』の出演によって復活します。とくに映画『ゴッドファーザー』の出演に際しては自らデモ・ビデオを作り監督であるフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)宛に送って売り込んでいます。

映画 『ラスト・タンゴ・イン・パリ 』 original sound track 1972.

映画 『 ゴッドファーザー 』 original sound track 1972.

映画 『波止場 』の音楽を担当したのはレナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)でこの映画ではアカデミー・ドラマ・コメディー音楽賞ノミネートまででした。レナード・バーンスタインはユダヤ系のアメリカ人で作曲家、指揮者、ピアニストとして有名ですがニューヨーク・フィル・ハーモニー交響楽団の指揮者であり、また音楽監督にも就任した実績があり同フィルの黄金期を築き上げた20世紀を代表する音楽家です。

映画 『 ウエスト・サイド物語(West Side Story)』 Prologue

レナード・バーンスタインは映画『波止場』のほかにシェークスピアの「ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)」のミュージカル化である映画『ウエスト・サイド物語(West Side Story)」の全曲を作曲しています。クラシック音楽にジャズ音源を混在させていて、さらにバレエ・ダンスを加味させたミュージカル映画に仕上げました。

映画 『 ウエスト・サイド物語 』 Jet Song

映画 『ウエスト・サイド物語 』 Something’s coming

映画『ウエスト・サイド物語』のほかの音源は『ウエスト・サイド・ストーリー』でお聴きください。この映画はアカデミー賞10部門を獲得していますが歌曲に関しては映画のために作詞・作曲されたものではないという理由からノミネートからも除外されています。

下にある映画『波止場』ポスターはレンタル・サイトのTUTAYAディスカスでこの作品を検索する際に間違えないよう同作品に直接移行いたします。またサイト内には『あらすじ』及び作品情報。スタッフ・キャスト情報が閲覧できます。ユーザー・レビューの募集もおこなっております。ご活用ください。

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