『サンセット大通り(Sunset Boulevard)』サイレント映画時代の大女優グロリア・スワンソンの代表作
大豪邸に引きこもったまま過去の栄光が今でも続いていると信じている元大女優と、売れない脚本家の青年との関係を通してハリウッド映画界の裏側を描いた作品『サンセット大通り(Sunset Boulevard / Sunset Blvd)』は1950年に公開されたアメリカ映画です。
映画 『 サンセット大通り 』 予告編 Trailer 1950.
監督はビリー・ワイルダー(Billy Wilder)、脚本はチャールズ・ブラケット(Charles William Brackett)とビリー・ワイルダーで最初はコメディー作品でした。脚本に行き詰まりを感じ雑誌TIME、LIFEの記者であったD・M・マーシュマン(Donald Mcgill Marshman Jr.)が加わり悲劇的であるフィルム・ノワールに変更しました。
映画 『 サンセット大通り 』 Opening original source 1950.
ハリウッドの裏側を描いた内容であったため評論家からの批判も多く受け、アカデミー賞11部門にノミネートはされましたが受賞できたのは美術・脚本・作曲賞の3部門でした。また、サイレント時代の大女優が世間から忘れ去られた存在であるという設定のため主演女優のオファーにも難航しました。主演を承諾したグロリア・スワンソン(Gloria Swanson)は本当にサイレント時代の大女優で「週に100万ドル稼ぎ100万ドル使うスター」と言われていました。ビリー・ワイルダー監督自らが交渉し出演を受諾しました。実際にトーキーの時代に入ってからグロリア・スワンソンの代表作はこの『サンセット大通り』になります。1974年の映画『エアポート75(Air Port 1975)』の出演が遺作となりました。
映画 『エアポート 75 』 original sound track 1974.
映画 『エアポート 75 』 予告編 Trailer 1974.
うだつの上がらない青年脚本家の配役も難航しウィリアム・ホールデン(William Holden)が演じましたが、彼もまた第二次世界大戦後、作品に恵まれていませんでしたのでこの映画『サンセット大通り』が復帰作になります。イメージを変えての復活となりました。
音楽を担当したのはフランツ・ワックスマン(Franz Waxman)でこの映画『サンセット大通り(Sunset Boulevard)』と翌年、1951年の映画『陽のあたる場所(A Place in the Sun)』で2年連続アカデミー作曲賞を受賞しました。また1954年の映画『裏窓(Rear Window)』の主題曲は彼自身の作品を再利用しています。
映画 『 陽のあたる場所 』 Opening Theme Music 1951.
映画 『 陽のあたる場所 』 予告編 Trailer 1951.
映画 『 裏窓 』 original source 1954.
映画 『 裏窓 』 予告編 Trailer 1954.
フランツ・ワックスマン(Franz Waxman)はドイツ出身の作曲家で1930年の映画『嘆きの天使(Der blaue Engel)』で使用されたモーツァルトの曲をフレデリック・ホランダー(Frederick Hollanfder)がアレンジし、さらにこのアレンジされた曲を編曲しなおしてオーケストレーションしたのが映画音楽関係の初仕事になります。
映画 『嘆きの天使 』 original source 1930.
フランツ・ワックスマン(Franz Waxman)はユダヤ系だったためアメリカで活躍することになりますが、映画における楽曲が映画の内容を表現することに専念した作曲家です。
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